意図される使用、合理的に予見可能な誤使用、リスクアセスメントを解説します。
製品に存在する危険を分析するリスクアセスメントは、国際規格ISO12100でも実施を求めています。
※リスクアセスメント手法(R-map / FTA / FMEA など)に関しての詳細は割愛します。
5つの手順を踏まえて実施します。
(1) 意図される使用(使用条件)及び合理的に予見可能な誤使用
搬送や設置、用途、使用目的、周囲環境、維持管理などの使用条件と使用者(年齢や身体特徴も含めて)の使い方を分析します。
合理的に予見可能な誤使用は、以下を指します、
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製品使用中に製品不良、事故、故障が生じたときに人が容易にとりえると考えられる反射的行動
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正規の手順を省略して早い結果を得ようと容易に考えられる不安全行動
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子供や障害者のような人が容易にとりえると考えられる行動
国際規格IEC82079でも、要求されています。
・想定される使用目的のための正しい使い方を書くこと
・想定される使用目的のための安全な使い方を書くこと
・予見可能な誤用に関する警告を書くこと
(2) ハザード(危険源・危険状態)の特定
製品の使用条件や予見可能な誤使用について、危険源、危険状態、危険事象の特定と予測を行います。
(3) リスクの見積り
(4) リスクの評価
予想される危害や損害を評価します。
危険の重大性、発生頻度
(5) リスクの低減
スリーステップメソッドという考え方をします。
- 本質的な安全設計による安全確保
- 保護装置による安全確保
- 使用上の情報による安全確保(取扱説明書や警告ラベル)
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
サイトで公開されている事故データベースを参照してください。
工場製品と消費生活用製品(民生品)では異なります。
工作機械や産業機械などの工業製品は、使用者を特定できます。
消費生活用製品(民生品)は、使用者を特定できません。
- ファンヒーターなどでは、チャイルドロック機能が設けられています。
- エアコンの屋外機などでは、火災を防ぐためにも外壁には金属を使っています。
- 電気温水器では、誤操作をして熱湯が出ると大変です。
誤操作を防ぐため、熱湯用ボタンにはカバーを付けて誤操作を防いでいます。
大きなリスクは、本質的な安全設計と保護装置でカバーしています。
しかし、すべてをカバーすることはできません。
<一般家庭でも使われるシュレッダー>
紙の投入口にネクタイやスカーフが巻き込まれる危険が残っています。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起しています。
(一定以上の負荷が掛かれば停止する機構もありますが)
<フットスイッチ(足踏み式スイッチ)を備えた機械装置>
フットスイッチに足を置いたまま作業してバランスを崩して、
フットスイッチを踏んでしまい、大怪我をしたケースがあります。
これは非常識な使用とは言えません。
合理的に予見できる誤使用です。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきです。
<金属加工時に使用する油>
水溶金属加工時に水溶性の油ではなく油性の油を使うと、火災の<危険が生じます。
それが常識でない方が油性の油を使って火災を起こしたことがあります。
このケースも合理的に予見できる誤使用です。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきえす。
ヤカンにやけど注意、包丁に切傷注意、社会常識となっているものには必要ありません。
作る側と使い側での常識が違うことがあるので注意が必要です。
テクニカルライターの方は、合理的に予見可能な誤使用、意識してください!