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厚労省の指針とガイドライン、中央労働災害防止協会(中災防)を解説

厚労省の指針とガイドライン中央労働災害防止協会(中災防)を解説します。

厚生労働省機械メーカー向け出している指針とガイドラインをご存じでしょうか。
機械製品のマニュアルを作成している方は必読です。
※欧州のEC指令、ISO12100、IEC82076を意識したものです。

  • 機械の包括的な安全基準に関する指針
  • 機械ユーザーへの機械危険情報の提供に関するガイドライン
    上記をキーワードにネットで検索すれば簡単に入手できます。

対象は下記です。
・機械の製造、輸入を行う事業者
・機械の販売を行う事業者
・中古機械の販売を行う事業者
・システムインテグレータ

努力義務として、
提供する機械の危険性等(残留リスク一覧・残留リスクマップ)の
情報の作成を求めています。それにはリスクアセスメントの実施が必要です。

※努力義務を軽く見ないでください。
 対策をしていないと「努力義務にも関わらずやっていない」と評価されます。

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安全に配慮するのはメーカーの義務

1. 機械の包括的な安全基準に関する指針

下記の記載を求めています。太字部分に注意してください。

1. 使用上の情報の内容には、次に定める事項その他機械を安全に使用するために通知又 は警告すべき事項を含めること。

(1) 製造等を行う者の名称及び住所

(2) 型式又は製造番号等の機械を特定するための情報

(3) 機械の仕様及び構造に関する情報

(4) 機械の使用等に関する情報

  1. 意図する使用の目的及び方法(機械の保守点検等に関する情報を含む。)
  2. 運搬、設置、試運転等の使用の開始に関する情報
  3. 解体、廃棄等の使用の停止に関する情報
  4. 機械の故障、異常等に関する情報
    (修理等の後の再起動に関する情報を含む。)
  5. 合理的に予見可能な誤使用及び禁止する使用方法

(5) 安全防護及び付加保護方策に関する情報        

  1. 目的(対象となる危険性又は有害性)
  2. 設置位置
  3. 安全機能及びその構成

(6) 機械の残留リスク等に関する情報

  1. 製造等を行う者による保護方策で除去又は低減できなかったリスク
  2. 特定の用途又は特定の付属品の使用によって生じるおそれのあるリスク
  3. 機械を使用する事業者が実施すべき安全防護、付加保護方策、労働者教育、個人用保護具の使用等の保護方策の内容
  4. 意図する使用において取り扱われ又は放出される化学物質の化学物質等安全データシート

2. 使用上の情報の提供の方法は、次に定める方法その他適切な方法とすること。

(1) 標識、警告表示等の貼付を、次に定めるところによるものとすること。

  1. 危害が発生するおそれのある箇所の近傍の機械の内部、側面、上部等の適切な場所に貼り付けられていること。
  2. 機械の寿命を通じて明瞭に判読可能であること。
  3. 容易にはく離しないこと。
  4. 標識又は警告表示は、次に定めるところによるものとすること。
      (ア) 危害の種類及び内容が説明されていること。
      (イ) 禁止事項又は行うべき事項が指示されていること。
      (ウ) 明確かつ直ちに理解できるものであること。
      (エ) 再提供することが可能であること。"

(2) 警報装置を、次に定めるところによるものとすること。

  1. 聴覚信号又は視覚信号による警報が必要に応じ使用されていること。
  2. 機械の内部、側面、上部等の適切な場所に設置されていること。
  3. 機械の起動、速度超過等重要な警告を発するために使用する警報装置は、次に定めるところによるものとすること。
      (ア) 危険事象を予測して、危険事象が発生する前に発せられること。
      (イ) 曖昧でないこと。
      (ウ) 確実に感知又は認識でき、かつ、他のすべての信号と識別できること。
      (エ) 感覚の慣れが生じにくい警告とすること。
      (オ) 信号を発する箇所は、点検が容易なものとすること。

(3) 取扱説明書等の文書の交付を、次に定めるところによるものとすること。

  1. 機械本体の納入時又はそれ以前の適切な時期に提供されること。
  2. 機械が廃棄されるときまで判読が可能な耐久性のあるものとすること。
  3. 可能な限り簡潔で、理解しやすい表現で記述されていること。
  4. 再提供することが可能であること。

2. 機械ユーザーへの機械危険情報の提供に関するガイドライン

記載されている概要を紹介します。

残留リスク一覧や残留リスクマップを作成する手順が書かれています。

  • 概要
  • 構成例(標準フォーマット)
  • 必要条件
  • 情報提供の形態

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具体的な作成のガイドラインを記載
  • 取扱説明書内に記載することを前提とすると記載されています。
  • 取扱説明書の冒頭など機械ユーザーが認識しやすい箇所に記載することが必要であると記載されています。

参考資料には、下記が書かれていますので併せて注意してください。

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取扱説明書全般に関して

 D3. 取扱説明書の構成

各工業界で定めたガイドラインに従う
安全に関する情報をまとめた章を冒頭に記載する
安全対策に関する説明は繰り返し記載する

D4. 取扱説明書の作成方法

取扱説明書の内容を定型化しテンプレートを作成する
取扱説明書の審査・承認のプロセスを構築する
文章編集担当者と設計担当者が分担して作成し、相互チェックを実施する

D3. 取扱説明書の記載する内容

災害時発生時の対応についても記載する
リスクアセスメントの結果を確実に反映する
ユーザー側で実施するべきことについても注意喚起する

3. 中央労働災害防止協会(中災防)

中央労働災害防止協会(中災防)は、事業主の自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害の絶滅を目指すことを目的に1964年(昭和39年)、労働災害防止団体法に基づき設立されました。

機械のリスクアセスメントに取り組まれる方々のために、研修会なども開催しています。各事業場のニーズに合わせた研修、具体的なリスクアセスメントの実施、残留リスク情報の作成のサポートまで行っています。

お困りの方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。