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【惨劇】「電子レンジで猫を乾かす」は、合理的に予見可能な誤使用か?

ちょっと有名な都市伝説のような話です。

ある老婆が、濡れた飼い猫を乾かそうと電子レンジに、、、、、、(惨劇)

「取扱説明書に動物を入れるな」と書いてなかったと裁判になりました。

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この話は、電子レンジで何かを温めたときに爆発して扉が外れて、使用者が怪我をしたと言う話が元になっています。

いわゆる、設計上の欠陥、製造上の欠陥となった事件です。

訴訟大国米国を揶揄するため、面白おかしく猫が登場する話となりました。

金属を入れないことは書かれていますが、猫や動物を乾かさないこと、
電子レンジの取扱説明書に書かれていないと思います。
(確認してみてください)

合理的に予見可能な誤使用ではないと考えられています。

製品に存在する危険を分析するリスクアセスメント

国際規格ISO12100でも実施を求めています。
その中でも、合理的に予見可能な誤使用に言及しています。

◆意図される使用(使用条件)及び合理的に予見可能な誤使用

搬送や設置、用途、使用目的、周囲環境、維持管理などの使用条件と使用者(年齢や身体特徴も含めて)の使い方を分析します。

合理的に予見可能な誤使用は、以下を指します。

  • 製品使用中に製品不良、事故、故障が生じたときに人が容易にとりえると考えられる反射的行動
  • 正規の手順を省略して早い結果を得ようと容易に考えられる不安全行動
  • 子供や障害者のような人が容易にとりえると考えられる行動
    [補足]IEC82079(マニュアルの国際規格)でも、要求されています。
  • 想定される使用目的のための正しい使い方を書くこと
  • 想定される使用目的のための安全な使い方を書くこと
  • 予見可能な誤用に関する警告を書くこと

[参考]
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページが参考になります。
さまざまな誤使用による事故例が掲載されています。

  • ファンヒーターなどでは、チャイルドロック機能が設けられています。
  • エアコンの屋外機などでは、火災を防ぐためにも外壁には金属を使っています。
  • 電気温水器では、誤操作を防ぐため、熱湯用ボタンにはカバーを付けて誤操作を防いでいます。

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大きなリスクは、本質的な安全設計と保護装置でカバーしていますが、すべてをカバーすることはできません。

[一般家庭でも使われるシュレッダー]
紙の投入口にネクタイ、スカーフ、髪が巻き込まれる危険が残っています。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起しています。
※一定以上の負荷が掛かれば停止する機構付の装置もあります。

[フットスイッチ(足踏み式スイッチ)を備えた機械装置]
フットスイッチに足を置いたまま作業してバランスを崩して、
フットスイッチを踏んでしまい、大怪我をしたケースがあります。
これは合理的に予見できます。ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきです。

[金属加工時に水溶性の油ではなく油性の油を使う]
火災の危険が生じます。ある程度の技術者であれば知っています。
しかし、それが常識でない工員が油性の油を使って火災を起こしたことがあります。
これは合理的に予見できます。ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきです。

※ヤカンにやけど注意、包丁に切り傷注意などは、社会常識です。
 そのような場合には注意の喚起は必要ありません。

製造メーカーと使用者間での常識が違うことが多々あります。
テクニカルライターは、合理的に予見可能な誤使用を意識して書いてください。