短期間で上達できるテクニカルライティング

コツを知れば短期間で上達します

マニュアルに関する国際規格[ IEC82079]は必須、具体的な要求事項が書かれています 

製品に対する安全に対しては、さまざまな規格があります。
ISO     :国際標準化機構(International Organization for Standardization
IEC     :国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)
ANSI  :米国規格協会(American National Standards Institute
JIS     :日本産業規格(Japanese Industrial Standards) など
(詳細については割愛します)

 IEC82079には、マニュアル(使用説明)に載せるべき、
構成、内容、および詳細な具体的な要求
が記載されています。

一般財団法人 日本規格協会JSA
ホームページから入手できます(有料)。

IEC82079は、IEC62079がベースになっています。
   このIEC62079が日本語に翻訳され、「JIS C 0457」となっています 

1. 構成、内容について(一部抜粋)

・メーカー名、製品ブランド名、バージョン、型番

・発行日

・耐用年数

・使用する前に熟読すること、保管義務

・製品供給者の名称、住所、連絡先

・サービス拠点の住所、連絡先

・外形寸法、質量、容量、容積など    

・性能データとその測定条件 

・エネルギー消費量(消費電力など)とその測定条件      

・騒音、ガス、放射線、その他の排出物の量とその測定条件(必要な製品)  

・保護衣やゴーグルの装着など人身保護に必要な情報(必要な製品)     

・製品を使用するための準備に関する情報

・開梱の手順(梱包材の取外しなど)と梱包材の廃棄に関する情報(必要な製品)     

・設置や組立に関する情報(必要な製品)   

・輸送のための再梱包の方法(必要な製品) 

無資格者による操作(使用)の制限

想定される使用目的のための正しい使い方

想定される使用目的のための安全な使い方

合理的に予見可能な誤用に関する警告      

人身保護のための情報(必要な製品のみ)    

廃棄物の取扱(必要な製品のみ、掃除機のごみの取り扱いなど)    

・ユーザーによる保守及び清掃に関する説明    

・故障診断と修理に関する情報       

・代理店、販売会社および製造者によるサポートに関する情報       

・ユーザーの安全及び健康に関する情報

マニュアルの冒頭部に安全情報がまとめられている     

やっても良いことと良くないことが明確に指示されている  

使用時の環境への影響に関する説明

製品の廃棄方法に関する説明

・特定の集団(高齢者や幼児など)に対する危険に関する情報       

2. 情報の一貫性や表現(一部抜粋)

・用字・用語に一貫性がある 

・画面や外観図と本文に使われる記号に一貫性がある     

・文字の大きさ(9pt以上)(大見出しは12pt以上)

・間隔(文字サイズの150%以上)     

・キャプションの読みやすさ(文字サイズ、行間、引き出し線など)     

・読みやすいコントラスト    

・効果的な色の使用

3. 合理的に予見できる誤使用

合理的に予見できる誤使用について説明します。

工場製品と消費生活用製品(民生品)では異なります。
工作機械や産業機械などの工業製品は、特定の工場や企業内で、特別な技能を持った方が使います。
消費生活用製品(民生品)は、一般の老若男女が使いますので、使用者の特定が難しいのです。

一般製品

ファンヒーターでは子供の使用を禁止するため、チャイルドロック機能が設けられています。

エアコンの屋外機などでは、火災を防ぐためにも外壁には金属を使っています。

電気温水器では、誤操作をして熱湯が出ると大変です。
誤操作を防ぐため、熱湯用ボタンにはカバーを付けて誤操作を防いでいます。

大きなリスクは、本質的な安全設計と保護装置でカバーしています。
しかし、すべてをカバーすることはできません。

一般家庭でも使われるシュレッダー
紙の投入口にネクタイやスカーフが巻き込まれる危険が残っています。

ラベルや取扱説明書で注意を喚起しています。
一定以上の負荷が掛かれば装置が停止する機構の装備が望ましいですが、、、

工業製品

フットスイッチ(足踏み式スイッチ)を備えた機械装置では、フットスイッチに足を置いたまま作業しているときにバランスを崩してフットスイッチを踏んでしまい、大怪我をしたケースもあります。これは非常識な使用とは言えないかもしれません。合理的に予見できる誤使用ではないでしょうか。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきです。

金属加工時に水溶性の油ではなく油性の油を使うと、火災の危険が生じることは技術者の常識です。
しかし、それが常識でない方が油性の油を使って火災を起こした例もあります。
このケースも合理的に予見できる誤使用ではないでしょうか。
ラベルや取扱説明書で注意を喚起すべきです。

ヤカンにやけど注意、包丁に切り傷注意など、
社会常識となっているものには必要ありません。

しかし、作る側と使い側での常識が違うことがあるのも事実です。
ご注意ください。

テクニカルライターの方は、合理的に予見可能な誤使用を意識してください。