テクニカルライティングに応用できる認知心理学を紹介します。
1. マジカルナンバー
マジカルナンバー、聞いたことはありますか?
人間が短期記憶できる情報の数です。
人間は一度に覚えていられる数は、4~7個と言われています。
1.1 マジカルナンバーフォー、マジカルナンバーセブン
<買い物を頼まれたとき>
- キャベツ
- ピーマン
- レタス
- ニンジン
- トマト
- 玉ねぎ
- ホウレンソウ
- ジャガイモ
- 牛肉200g
<道順を教えてもらったたとき>
- その交差点を左に曲がり、まっすぐ行って郵便局の角を右に曲がり、
- それから50mほど行くとコンビニがあるので左に曲がり、
- 100mほど先の三叉路をまっすぐ進み、
- すぐに和菓子屋さんがある角を右に曲がり、
- 大きな10階建て白いビルが立っている角を左に曲がり、
- そこから少し行った所の喫茶店の隣が目的地です。
いくつまで覚えることができますか?
1.2 見ながら作業
その作業ってマニュアルを見ながらするの?覚えてもらうの?
これって、あまり考えられていません。
「天井に取り付けられている蛍光灯を交換する」ときは、脚立に乗って作業するので、マニュアルを見ながらは作業できません。
- カバーを左に回します。
- カチッと音がする位置でカバーを取り外します。
- カバーを床に置きます。
- 古い蛍光灯本体のコネクタを取り外します。
- 古い蛍光灯本体を左に回します。
- カチッと音がする位置で赤いピンを押します。
- 古い蛍光灯本体がフリーの状態になりますので取付金具から抜き取ります。
- 古い蛍光灯本体を床に置きます。
- 新しい蛍光灯本体の凸部部を取付金具の凹部に合わせて挿入します。
- 新しい蛍光灯本体を右に回します。これで蛍光灯本体が固定されます)
- カチッと音がする位置で赤いピンを押して、新しい蛍光灯本体を固定します。
- 外したカバーの矢印マークを蛍光灯本体の矢印マークに合わせて押し込みます。
- カバーを右に回します。(これでカバーが固定されます)
もし手順6で次の作業を忘れたらどうなるか?
古い蛍光灯本体はフリーの状態です。手を離すと落ちてしまいます。
マニュアルを確認することはできません。
マニュアルを確認できるステップに分けて書いてください。
そして、落下の注意をはっきり書いてください。
<ステップ1:カバーを取り外す>
- カバーを左に回します。
- カチッと音がする位置でカバーを取り外します。
- カバーを床に置きます。
※手を離しても大丈夫です。
<ステップ2:古い蛍光灯本体を取り外す>
- 古い蛍光灯本体のコネクタを取り外します。
- 古い蛍光灯本体を左に回し、カチッと音がする位置で赤いピンを押します。
注意:古い蛍光灯本体がフリーの状態になるので手を離さないでください。 - 古い蛍光灯本体を取付金具から抜き取ります。
- 古い蛍光灯本体を床に置きます。
※手を離しても大丈夫です。
<ステップ3:新しい蛍光灯本体を取り付ける>
- 新しい蛍光灯本体の凸部部を取付金具の凹部に合わせて挿入します。
- 新しい蛍光灯本体を右に回し、カチッと音がする位置で赤いピンを押して、新しい蛍光灯本体を固定します。
※手を離しても大丈夫です。
<ステップ4:カバーを取り付ける>
- 外したカバーの矢印マークを蛍光灯本体の矢印マークに合わせて押し込みます。
- カバーを右に回します。(これでカバーが固定されます)
※手を離しても大丈夫です。
読者へのちょっとした気づかいで使いやすくなります!
2. おかしな文章が読める
この文章が読めますか?
こんちには、みさなん、おんげきですか?
わしたはげんきです。
どでうすか?
ちんゃとよゃちめうでしょ?
英国ケンブリッジ大学の研究結果です。
最初の文字があっていれば、順番がめちゃくちゃでもちゃんと読めるのです。
チェックをするときに、この現象が起きているかもしれません。注意が必要です。
3. 見えるはずのものが見えない不思議
バスケットボールとゴリラの映像の実験を知っていますか?
(心理学者クリストファー・チャブリスとダニエル・シモンズの実験)
「youtube バスケットボール ゴリラ」で検索して、実験してみてください。
大学の実験では、目の前を通り過ぎるゴリラ、50%の方が見えなかった!
人の目とカメラの目がいかに違うのかがよくわかります。
交通事故においても多くの加害者は、「被害者が見えなかった」と言います。
正しいはずだと思っていると、間違いが見えなくなります。
「正しくないはずだ、間違っている箇所を探そう」の姿勢でチェックしてください。
4. 既有知識
何を説明している文章でしょうか?
物をいくつかの山に分けます。もし量が少なければ1つでも構いません。最初は面倒に感じるかもしれませんが、すぐに慣れます。物は再度いくつかのグループに分けられて、適当な場所にしまいます。この作業の後、物はもう一度使われます。そして再び、このサイクルが繰り返されます。この作業は将来もなくならないでしょう。
洗濯物の片付け、洗濯した衣類を分類して、タンスにしまう作業です。
「洗濯と収納」とタイトルがあれば、誰でもが何を説明しているかわかります。
既有知識が理解を助けてくれます。だから、タイトルや枕文は大切です。